オフィスにBGMを導入している企業が最近増えてきています。
音楽を聴きながらの方が、作業がはかどるという方がいらっしゃるように、オフィスにBGMをかけることでも様々な効果が期待できます。
しかし、いざオフィスにBGMを導入するとなると迷う方が多いのも現実です。また、著作権の問題など気になる点も多いはず。
そこで、そんな方に向けて「オフィスとBGM」について解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、オフィスBGM導入の参考にしてみてください!
この記事のもくじ
オフィスにBGMを導入することで、どのような効果が生まれるのでしょうか?
5点挙げているので1つずつ見ていきましょう。
BGMの中でも特に「メロディ」や「歌詞」のないホワイトノイズと呼ばれるものには「マスキング効果」というものが期待できます。
マスキング効果とは、同じ周波数の音が相殺され聞き取りづらくなる現象のことです。
オフィスにはパソコンを打つ音や周りの喋り声など様々な雑音が溢れています。
それらを、70デシベル程度の適度で歌詞などのないノイズで相殺することで、最も脳の働きを高め、集中できる環境が作られるのです。
ここである研究結果を紹介します。
2018年に北星学園大学が発表した「BGMによる言語ノイズのマスキング効果」では、単純作業と高度な知的作業をBGMがある環境とない環境でそれぞれ行い、得点を比較する実証実験が行われた。その結果、いずれもBGMがある場合の方が良い成果がでた。
(参考:https://core.ac.uk/download/pdf/228570398.pdf)
研究結果より、BGMを導入した場合には作業ミスの減少、疲労の軽減などさまざまな面で良い結果がもたらされていることがわかります。
緊張感があって殺伐とした雰囲気の職場でも、BGMを導入することでオフィスの空気を緩和し、心をリラックスさせ、コミュニケーションを円滑にすることができます。
静かな空間より少し音楽が流れている方が、話しかけやすいというのも明らかでしょう。
来客時も、無機質な印象ではなく柔らかく和やかな印象を与えることができるはずです。
近年「働き方改革」の影響で各企業が対策を打ち出していますが、従業員のメンタルヘルス対策にもBGMが効果的なのです。
音楽には感情を誘導する効果があるため、「昼休憩後にアップテンポの曲を流し、交感神経を優位にさせ眠くなりにくくする」「休憩室でリラックスできる音楽を流しストレスを軽減する」など従業員のメンタルケアとしても様々な効果が期待できます。
静かでパソコンの打つ音しか聞こえないところでは、少し話すだけでも周りの人に大きく聞こえてしまうものです。
しかしBGMがあれば、周りに明らかに聞かれることも少なくなるでしょう。
特に来客スペースなどがデスクに近い場合は、商談内容や機密事項が周りに漏れることもありません。
時間帯によって流す音楽を変えることは、新鮮さを生み、各自が時間を意識するきっかけとなります。
朝・昼・午後・終業前などで流すBGMのテイストを変えることで、音楽から時間を認識し、自身の業務スピードやスケジュール管理にも反映することが可能になるでしょう。
次のBGMの選曲方法で時間別に合うジャンルを紹介しています。
実際にBGM導入を検討している方は、以下の点に気を付けてください。
基本的には著作権が消滅している音楽や著作権フリーという形で提供されている音楽、ラジオ等の放送以外は、使用料を支払う必要があります。
ちなみにその中にも例外はあるので紹介します。
(4)にあるように従業員のみが聞ける環境については使用料が当分免除になりますが、職場において従業員以外の不特定多数の人が出入りする場所については、使用料を払う必要があります。
そして、コピーしたCDを利用することも控えましょう。CDは個人利用の中である「私的使用のための複製」は問題ありませんが、それをオフィスで流すと違法行為になってしまうので注意してください。
先程「マスキング効果」の話をしましたが、これは周囲の環境音より音量が大きすぎるとむしろ集中が切れて逆効果になってしまいます。
アメリカのニュースサイト「The Atlantic」に2012年に掲載された記事では、創造性を最適化するためには、どのくらいの雑音がオフィスに適しているか実験が行われました。
5つの実験のうちひとつは、被験者に対して一般的な用具の一般的でない用途を列挙してもらうように依頼し、その間BGMのレベルを変えることで人々の創造性をテストするものでした。
その結果、比較的静かな環境(約50デシベル)と比べ、中程度の音量(約70デシベル)がパフォーマンス向上につながりました。一方、やや大きめの音量(約85デシベル)では逆にパフォーマンスが低下したことが述べられています。
少しの音量の違いでも、効果が変わってしまうことがわかりますね。BGMが周囲の音と馴染むくらいのボリュームに設定しましょう。
また、音量はスマートフォンのアプリでも簡単に測定することができるので、ぜひ活用してみてください。
▼アプリ例(デシベルテスター/Simple Sound Meter)
選曲でもっとも注意すべきポイントは人によって曲に好き嫌いがあることです。
万人受けする曲というものも意外と難しく、一度BGMを導入しても気が散ってしまうとの声が上がり音楽をかけるのをやめてしまうケースも多いようです。
そこで空間や時間に合った選曲ができるように、ジャンル別と時間帯別におすすめ選曲を紹介します。
一般的なオフィスにおすすめしたいのは「クラシック」や「自然音」など歌詞がないBGMです。
ポップスやロックは好みが分かれたり歌詞がついていることが多いため流す場合は、インストゥルメンタル(歌のない、楽器のみで演奏された曲)にするなど対策をする必要があります。
さらに、脳の疲労軽減の面で言うと「ジャズ音楽」もおすすめです。
脳のリラックス状態を作り出し疲労軽減の効果を得るためには、リズミカルな刺激が必要で、それにジャズが合うようです。休憩室などに流すとよりリフレッシュ効果が得られそうですね。
時間帯によって期待する効果は異なるため、BGMを変えてみましょう。タイムマネジメントも見込めます。
それでは、ここからオフィスBGMを流す方法について見ていきましょう。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、会社の方針や規模・予算等を考えながら見ていくといいでしょう。
CDやストリーミングサービスの再生は、BGMの最もよく利用されている方法だと言えます。
Apple MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスは、タブレットと音楽再生機器さえあれば、すぐに利用できるという手軽さが挙げられます。
配信楽曲も多く、Bluetoothで複数のスピーカーと接続が可能なので、オフィスの大きさに関わらず利用できます。
一方、手間がかかるというデメリットもあります。
CDの場合は取り替える作業が必要であり、一通り曲が流れ終わってしまった際には次の曲の再生作業が必要になります。
ストリーミングサービスは、途中で接続が悪くBGMが切れてしまうことがあること、楽曲操作の必要などがあります。
また注意点の部分で述べたように、著作権の問題も関わってきます。
人の出入りがある場合は特に注意しましょう。
ラジオに関しては、著作権の問題を考えず手軽に導入できるというのがメリットです。
しかし音楽に特化した番組ではない場合、集中力が途切れてしまうこともあるので注意が必要です。
また、楽曲をこちら側で選ぶことができないというのもデメリットとして挙げられるでしょう。
ラジオは、無料で再生することができるradikoなどのアプリがあるのでおすすめです。
▼アプリ例(radiko/myTuner Radio)
費用はかかってしまいますが、導入からすべて業者に任せることができるため手間がかかりません。
また楽曲を操作する手間を省くことができ、著作権の問題も考える必要はありません。
実際にオフィス音楽専門のサービスを利用してBGMを導入する企業は年々増えてきていて、三井不動産株式会社やパナソニック株式会社、KDDI株式会社など、有名な企業も次々と導入しています。
オフィスBGM専門の配信サービスには「Sound Design for OFFICE」「KooNe」「R-LIVE」などがあります。
音楽が流れるオフィスで働く社員の方からは気持ちが落ち着く、作業が捗るという声も多く聞かれるようです。
▼オフィスBGMを導入した企業『株式会社Phone Appli(フォンアプリ)』の担当者様にインタビューをした記事もあるので、ぜひご覧ください。
最後に実際にオフィスにBGMを取り入れている企業の導入事例を見ていきましょう。
今回はオフィス向けのBGMサービスを取り入れた3社を紹介します。
株式会社ジンズは、ワークスペース「Think Lab」にKooNeという音響サービスを導入しています。
KooNeはハイレゾクオリティの自然音や、どこからともなく自然に流れる独自の空間音響設計が特徴です。
KooNeの導入後は、
といった声が上がり、気持ちが落ち着く場所として定着しているようです。
株式会社生活の木は、オフィスにR-LIVEという音響サービスを導入しています。
R-LIVEはKooNeと同じハイレゾクオリティの自然音ですが、低コストでの導入が可能です。
R-LIVEの導入後は、
といった声が上がり、空間に馴染んでいるようです。
富士通株式会社は、サテライトスペースにSound Design for OFFICEという音響サービスを導入しています。
Sound Design for OFFICEとは、多種多様なチャンネルを持つオフィス向けのBGMサービスです。
Sound Design for OFFICEの導入後は、
といった声が上がり、より従業員が働きやすい環境を作れたようです。
いかがでしたか?
これでなぜオフィスにBGMを導入する企業が増えているのか、何に気を付けなければいけないかなどがよくわかったと思います。自分のオフィスに合った方法を色々と試してみてください。
実際に導入した際には、社員の方の意見も聞きつつ改善を続けていけば、BGMによって理想のオフィスへと近づくはずです!
オフィスに音楽を導入する方法3つ!業績アップのための基本知識とは
BGMで仕事の集中力アップ!業務別に必要な5パターンの音楽とは
R-LIVE/アールライブの特徴は?費用や導入企業の声、体験場所までわかる
オフィスの生産性を上げるBGMとして近年話題になっている自然音。自然に近い環境の中で仕事をすると生産性が上がる。 「バイオフィリックデザイン」に基づいた考え方が脚光を浴びています。
そんなオフィスBGMとしての自然音サービスの中からおすすめの3社をピックアップし比較 しました。費用や音質、導入企業、いちおしポイントが一目でわかるので今すぐチェック!